kaigonoosigotoの日記

都内の高齢者施設にて施設長をやっています。若者の視点から現代の高齢者施設に切り込みます。

介護士と医療職ってなぜぶつかりやすいのか?

 

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介護施設では看護師が常勤していて、月に1回程度で嘱託医が診察に来るというパターンが多いと思います。その時、利用者一人一人の健康状態を医師にチェックしてもらい、様々な指示を受けるのですが、この指示に関して介護現場では不満が出ることがあります。介護士も医療職の人達も正しいことをしているのですが、ぶつかってしまうのです。軽いバトルですね。一体なぜでしょう?というわけで、今日はこの問題について掘り下げてみようと思います。

 

◆1.医師と介護士の仕事への向き合い方は異なる

◆2.医師に判断を求める時に重要なこと

◆3.医師の特権には口出ししづらい

◆4.医師の現場への歩み寄りも必要

 

◆1.医師と介護士の仕事への向き合い方は異なる

利用者のために存在する両者ですが、今まで受けてきた教育や仕事内容から考え方や仕事への取り組み方が異なってきます。

医師の仕事への取組み方

嘱託医って、月に一度ふらっと現れて、ちゃちゃっと診察して帰っていきます。そんな短い時間で利用者の何が分かるんだよって介護士は毎回突っ込んでいます。でも、これ仕方がないですよね。医師と介護士の役割って違いますもんね。医師は病気を治し、利用者の健康状態を向上させる人です。利用者の日常生活を見ている時間なんてありません。だから、医師は限られた時間の中で介護士や看護師から利用者の情報を把握して、その都度判断を下していきます。医師は命を守ることが仕事なので、感情を抜きにして、利用者の健康状態が改善されることを中心に診察します。その診察は利用者の生き甲斐よりも命の安全を優先します。これが介護士にとっては不満でもあったりするわけです。

介護士の仕事への取組み方

医師が医療的な専門知識を持ち得ており、医師にしか判断・指示できないことがあることはもちろん承知しています。しかし、介護士は普段から利用者の様子を見ています。それがその瞬間しか利用者をみないのに、いろいろな判断や指示をしてくる医師に対して、反感を持つケースというのは存在します。もちろん、医師にしかできない判断があるし、医師の医療的役割は分かっていますよ。それとは別に普段の利用者が分からないのに、生活面のアドバイスや実態とは違う指示、逆効果になってしまうような指示をしてくることに困惑してしまうということです。介護士は医療判断をすることができません。そうした判断は医師や看護師が行いますが、24時間365日体制で利用者を見ている介護士にしたら、医師の判断に疑問を持ってしまうことがあります。

 

◆2.医師に判断を求める時に重要なこと

利用者に関しての医療的アドバイスを医師に求める時は、注意すべきことがあります。

医師の仕事は、問診をしながら情報把握をし、必要な診断や判断を行なっていきます。一人で多くの患者を診る医師の仕事は短時間で多くの判断をしなければなりません。正確性とスピードが求められる仕事であるため、介護士はその医師の業務スタイルに合わせて、医師に利用者の様子を報告しなければなりません。

利用者がもし、体調が悪かったとしましょう。医師が知りたい情報というのは次のようなものです。どこがどのように悪いのか、いつから悪いのか、食欲や体重に変化があったのかなど、客観的な情報で利用者の状態を把握しようとします。

しかし、介護士の仕事のスタイルはこのようでない場合が実際は多いです。というのも、時間の経過を追うような説明をしてしまい、利用者の状態を核心的に報告するのが苦手です。普段から利用者と接している時間が長い分、感覚的な報告が多くなり、医師にとっては理解しづらい報告になりがちです。

利用者へ健康アドバイスを医師に求める際は、事前に話の要点をまとめ、医師が必要としている情報に特化して報告すると良いです。そういう場合、看護師に相談すると医師がどのような情報を必要としているのか教えてくれます。また医師によっては大事にするポイントも若干異なってきたりしますから、それらも合わせて施設の看護師に聞いてみるというのも手です。

 

◆3.医師の特権には口出ししづらい

医師の判断に不満が出やすいものとして服薬に関するものがあります。医師は薬を処方できる権限がありますが、当然介護士にはそのような権限はありません。薬の効果や副作用に関して介護士は素人で、医師の前に出る幕はありません。でも、利用者さんを長い間介護していると、もっと服薬をこうしたら良いのではないかと思うことって結構あります。薬のプロではないので、なんとも言えませんが、利用者さんがどんな薬を飲んで、どういう風に効いてくるのかを感じることも多いです。もちろん、内臓に効果がある薬だと分かりませんが、精神を落ち着かせる薬だとかは、結構効果がはっきりしていて分かりやすいです。

そんなことを思っていると、介護士が医師の服薬領域に足を踏み入れてしまうというタブーを犯すことがあります。口出ししちゃうんですよね。「この薬ってどうなんですかね、先生~」っていう具合に。医師はこれをとても嫌がります。

医師は医師の領域に介護士を始めとする他者が介入するのを非常に嫌がってますね。医師同士だとしても、治療や服薬に関して他の医師の判断を尊重し、口出しをしないことが多いと医師の方から聞いたことがあります。高度な専門知識を持つ医師の判断に口出しするということは、プライドにも傷がつくのでしょう。

介護士は医師のプライドを傷つけようとしているわけではないのですが、つい地雷を踏んでしまうこともあるのです。やはり、薬の処方は医師の専門分野であるため、口出しは控えた方が良いでしょうね。どうしても言いたいことがあれば、看護師を通して医師に伝えてもらうのがベターかと思います。

 

4.医師の現場への歩み寄りも必要

介護現場に対して、どうしてそういう風な対応を取っているのかと医師が疑問を持つことも多いようです。でも、それって医師が介護現場を知らないことからくる思いだったりします。医師は現場を見る時間も少ないですし、介護業務をすることもないのですから、現状が分かるはずないです。

実際の介護現場は、少数の介護士で、多くの利用者を介助していることがほとんどですから、医師が考えるような対応はできないわけです。失禁が続いたり、徘徊、奇声、暴力なども常に起きており、介護士は息つく暇もないほど業務に追われていたりするわけです。

暴力をふるう利用者にとって精神安定剤が必要だとします。医師は現場の介助の力で服薬を減らそうとするのですが、暴力を日々受けている介護士からしたら、たまったものではありません。早く精神安定剤を処方してくれることを介護士は願っているはずです。人は自分がその状況にならないと人の苦労は分からないものですが、医師にもそれは言えるでしょうね。介護現場を知らないからこそ、その判断ができるのか~って失礼ながら、思ってしまったりもします。

 

介護士と医師って協力して利用者さんの利益になるようにしなければいけないのですが、お互いが歩み寄れていない部分があるなぁと感じています。それによって、お互いに不満を持っていたり、反感を抱いているような場面が多いと思います。介護士も医師のことを知らなければならないし、医師も実際の介護現場についてもう少し知らないと有効な助言はできなんじゃないかな~と毎度のことながら、思っています。心の中でね。